【六本木】荒木飛呂彦原画展
去年の仙台に続き、今年はなんと新美。おまけに60号くらいの大きい書き下ろし原画もあるとのこと。
展示構成としては、メインコンテンツの漫画原画に加え、今回のために描きおろされた大型作品。随所で別のアーティストによる立体物や映像作品などが挟み込まれていました。また壁際には今回のコンセプトアートを含む、今までの作品の大型プリントが列挙されていて、ここだけは撮影可能になっていました。他アーティストの作品と撮影スポットは観客の導線をばらけさせたりリズムをつける役割としてとてもよく機能していて、そもそも入場チケットが完全時間指定になっていることもそうですが、人が混まないようにする設計が丁寧にされていてそれがうまく行っていたとおもいます。漫画原稿は小さいので、見栄え的にも混雑的にも、どう展示するのかなと気になっていたのですが、見事でした。こういうのは箱側、コンテンツ側のどちらがやっているのだろう。
仙台の時にも思ったのですが、やっぱり漫画といえども原画の魅力は印刷物とは比較になるません。絵から受けるエネルギーや印象が鮮やか。普通の絵画だとそれは当然なんですが、普段親しんでいる漫画でもそうなのは、考えてみれば当たり前なのですが、不思議な感じがしました。
音声ガイドは荒木本人です。これは面白かったので借りた方が良い。承太郎のモデルがダーティハリーであることなど、意外なエピソードが楽しいです。
グッチから依頼が来た時に荒木本人がかなり驚いたというエピソードが意外で印象に残っています。6, 7 部くらいから加速していたアート・デザイン寄りの画風は、本人が自分から向かって行った部分と、グッチのような外部からの評価を受けて向かって行った部分があるんだろうと思われます。波紋という流れがあるところからスタンドを発明したり、3 部までの流れがありながらも 4 部のような作品を作るなど、同じことを繰り返さず挑戦をしながらも、マスに受け入れられられる作品を送り出すバランス感覚が優れていると思っていたのですが、このように外部からのフィードバックを適切に取り込んでいることがその要因の一つなのかなという気がしました。
後日 UOMO に載っていたインタビューをたまたま見たところ、大型の作品を描くのは初めてなので絵が歪まないか不安と山口晃に相談していたとのこと。かわいいですね。